京都人にまつわるエトセトラ
はじめに
京都には大きく分けて2種類の人間が住んでいます。「京都人」と「それ以外」です。一体何が違うのでしょう?上京(古来の意味で)したばかりの私は、京都人を探してみることにしました。
京都人の絞り込み
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住んでいる場所
まず私は京都在住になりますが、京都人ではありません。もちろん当たり前のことです。大学進学のために上京(古来の意味で)したのですから。
私の知り合いの京都府民は言います。
「ウチは京都人ではないよ」
はて、これはどういうことでしょう?聞くと
「京都は京都でも、宇治で育ってるからなあ。やっぱり京都市外の人は、京都人とは言わないよ」
なるほど、「京都人」とは「京都市内で生まれ育った人」の事だそうです。
では、京都市に家を持つ知り合いならどうでしょう?
「俺は京都人ではないかな…市内に住んでるけど」
おやおや、どういうことでしょう。
「京都市内でも、洛中に住んではる方は、京都人としての意識が強いね」
なんと、京都人というのは洛中で生まれ育った方のようです。
洛中というのは、かつての平安京の京域内のことで、鴨長明「方丈記」によると
「一条ヨリハ南、九条ヨリハ北、京極ヨリハ西、朱雀ヨリハ東」
とのことです。京都にあまり馴染みのない方には少々分かりにくいかもしれませんね。「一条」「九条」は、碁盤目状になっている通りの名前。「朱雀」「京極」は土地の名前になります。
また諸説には、豊臣秀吉が築いた「御土居(外敵や川の氾濫を防ぐための土塁)の範囲をさすとも、旧京都市電の通っていた範囲とも言われています。
つまり、京都人は洛中(京都市内でも中央の一部)に住んでいるということになります。
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年数
まれに、京都市内の「洛中」に住んでいる方から
「あはは、確かに僕は、洛中に住んでるよ。でも、正確には「京都人」じゃないかな」
というようなことを言われることがあります。たとえ洛中に住んでいても、京都人でない可能性があるのです。そこで新たに浮上してくるのが「何年そこに住んでいるか」という問題です。
古くから伝わる、こんな言葉があります。
「京都十代、東京三代、大阪一代」
これは、京都の人になるには十代かかるが、東京なら三代、大阪に至っては一代でよい、という意味のことはで、土地柄を表しています。
大阪は商人の町であったため、全国から人が集まっていました。そのため、新たに入って来た人もスグに「大阪人」になれたのです。東京は三代、つまりおじいちゃんの時代からいれば「東京人」となります。対して京都、十代とは相当なものです。ひいひいひいひいひいひいひいおじいちゃんから住んでないといけないのです!
さあ、人数は何人だ
京都人は
・洛中に住んでいる
・十代以上前から京都にいる
という2つによって規定されているようです。
昔の私であれば、ここで探求は終わっていました…。しかし、ここから先へ行きます。「人数を推定」してみるのです。
悲しいかな、フェルミ推定の練習ばかりしていると、なんでも推定したくなってしまうのです。コンサル志望就活生の職業病とも言えるでしょう。
そんなことはさておき、早速フェルミ推定していきましょう!
まず定義ですが、簡易化させるため
・洛中の範囲は上京区、中京区、下京区、北区とする(およそ御土居の範囲内にある四区です)
・その範囲内で、十代以上前(およそ800年以上前)から住んでいる人を京都人とする
続いて使用データの確認ですが、
・京都市の人口…147.5万人(2015)
・京都市の面積…827.8k㎡
うち、上京区7.11k㎡、中京区7.38k㎡、下京区6.78k㎡、北区94.92k㎡
を使用します。
洛中の面積は四区の合計、116.19k㎡。
京都市内における洛中の割合は約14%。
仮に京都市の人口が均等に配置されているとすると(本当は都市部の洛中に集中してるんだけど、そこは勘弁…)
147.5万人×14%=20.65万人。
続いて年数ですが…どうしましょうか。800年前というと、後鳥羽上皇がいた頃になります。めっちゃ昔です!ちょっとあまりにも昔過ぎて、ほとんどその頃から動いていない人はいないと思うので、
「洛中在住の0.1%が十代前から住んでいる」
とさせてください。そうすると、
20.65万人×0.1%≒207人
なんと!!京都人は200人ちょっとしかいないことになりました!!
おわりに
簡単にですが推定をしてみると、京都人は本当に極わずかな人数しかいないことがわかりました。日本全人口からすると、およそ0.0000016%の人数!宝くじで1等に当たる確率は0.00001%なので、はるかにそれよりも低いのです!
もし「ウチ、京都人なんよ〜」って言っている人に出会ったら、それは宝くじが当たるよりもレアなことかもしれません